お医者さんに聞いてみたい病気の疑問

現役の医者が日常診療の中でよく受ける質問を簡単にわかりやすく説明していきます。

【質問】尿酸値と痛風の関係を教えて下さい

【回答】尿酸値は高いことよりも、高くなったり低くなったりする変化量によって痛風発作を起こすことが多いです。

検査値異常

 血液検査の結果では普通、高いか低いかだけで異常の有無をチェックすることが多いです。例えばコレステロールで言えば、LDL-Cすなわち悪玉コレステロールは140を超えれば異常値であり、場合によっては治療の適応になります。ところが、尿酸値だけに限っては同じように扱うことが出来ません。尿酸値が10前後で推移していても痛風発作とは無縁の方もおられれば、尿酸値8前後でも痛風発作を起こす人もいます。

どのような時に尿酸値が上下するか

 一番典型的なのは、ビールの飲みすぎで翌日痛風発作というエピソードです。これは明らかに尿酸値が急上昇したことによって起きた発作ということが出来ます。しかし、逆もあるのです。痛風発作気味で病院を受診し、尿酸値を下げましょうと言われ尿酸値を下げる薬を飲んだら翌日さらに痛くなったなんていうこともしばしば認められます。これこそ、尿酸値の急下降によって起きた痛風発作です。

痛風発作の治療と高尿酸血症の治療

 なんとなく、痛風と高尿酸血症は同義語のように扱われますが、それは違います。痛風の治療の基本は痛風という炎症を抑えることであり、尿酸値を下げることではありません。また、高尿酸血症の治療の基本は尿酸値を下げることです。つまり、痛風発作が起きてしまったらどうするかというと、まずは痛み止め(消炎鎮痛剤)で炎症を抑え、痛みを取ります。程度にもよりますが、長いと2週間くらいかかることもあります。痛みが治まったらそこで初めて尿酸値を下げる治療を開始するのです。

内服したりしなかったりも痛風発作を起こす

 つまり、尿酸値が高い人で、尿酸値を下げる薬を飲んでいる方が内服をしたりしなかったりすることは、尿酸値の上げ下げを助長するため痛風発作を起こしてしまう事があります。なので尿酸値を下げる薬を内服している方は内服忘れが無いようにより気を付けた方が良いということです。

症状や病状は人によって様々です。
一般的な内容を書くように努力をしておりますが、特殊な病状の人には当てはまらないものもあります。
参考程度に留めて見ていただけると幸いです。