お医者さんに聞いてみたい病気の疑問

現役の医者が日常診療の中でよく受ける質問を簡単にわかりやすく説明していきます。

【質問】夏は水分をいっぱい取った方がいいんですか?

【回答】心臓または腎臓の悪い方の一部を除いて基本的には水分は多めに摂取しましょう。

心臓における水分制限

 心不全という病気になると、体に水分がたまりやすい病状となります。体に水がたまった所見としては、足などが浮腫むこと、そして息苦しくなること、この辺です。こういう病状の方は状況にもよりますが水分制限が必要なことがあります。つまり水分を取り過ぎてしまうと苦しくなってしまうので注意です。
 実際に心不全で治療中の患者さんが、テレビ番組で水分をいっぱいとった方が良いと言っていたとのことで、1日に5L水をのんで、心不全が悪化して救急車で受診というケースもありました。
 痛風で歩くのもやっとな心不全の患者さんが、薬局で痛風だから水分いっぱいとらなきゃダメだよと言われ、水分量を多くしていたら心不全が悪化したということもありました。

腎臓における水分制限

 基本的には腎臓においては水分をしっかりとれていることの方が重要です。ところが、末期腎不全で透析が始まるかどうかのような人が水分をとりすぎると、腎臓でさばききれずに水がたまってしまうことがあります。

最優先されるのは主治医の意見

 水分の制限などは主治医の意見が最優先です。せっかく指導をしていたであろうに、メディアなどの情報で病状が悪化してしまうと、患者さんはもちろん、僕らも悲しいです。

症状や病状は人によって様々です。
一般的な内容を書くように努力をしておりますが、特殊な病状の人には当てはまらないものもあります。
参考程度に留めて見ていただけると幸いです。